インフルエンザの熱・くしゃみ・感染予防  NOTE #32

  インフルエンザは高熱が出るとされてきたが高熱でなくても感染していることが最近分かっ
 てきた。特効薬タミフルの特徴、インフルエンザウイルスとくしゃみの実験、口腔ケアによる
 発症率減少など、インフルエンザ予防、感染拡大を防ぐ方法、対策をNHK「ためしてガッテン」
 からまとめました。


  2005年夏に沖縄で流行したインフルエンザ

    昨年の夏は、6月半ばから7月にかけて沖縄でインフルエンザが流行した。日本で夏
  期にインフルエンザが流行する例はなく、異例の事態。インフルエンザは、一般的に乾燥
  した冬場の1月から3月にかけて流行すると思われているが、東南アジアでは6月〜8月
  の雨季にかけて流行のピークを迎えるとされている。国内では、初めて夏場にインフルエ
  ンザ注意報が発令された。


  インフルエンザは、高熱が出ない場合もある。成人、高齢者に多い。

    インフルエンザを見極わめる熱の温度を街の人で調査したところ、多くは38℃以上
   でインフルエンザを疑うという結果になった。

    インフルエンザウイルスが高熱を出すのはどうしてなのか実験を行った。
    インフルエンザウイルスを生きた細胞に加え、3日間置く。すると細胞に大きな穴が
   開いてしまった。この穴は、ウイルスの急激な増殖により細胞が死んでしまった状態で
   ある。普通の風邪のウイルスと結果を比べると明らかに異なり、普通の風邪ウイルスを
   入れた細胞は、さほどのダメージを受けていなかった。それほど、インフルエンザウイ
   ルスの増殖力が強いことが分かる。
    このため体は、インフルエンザウイルスの急激な増殖を押さえようと、高熱を出して
   対抗する。38〜40℃の高熱がでると多くの文献にもある。

    しかし、最近37℃4分くらいでインフルエンザと診断される人が増えている。イン
   フルエンザの診断に用いる検査キットが使われるようになってこのことが分かってきた。
   検査は、鼻の奥の粘膜を綿棒で採取し液体と混ぜ検査キットにたらすと、数分で感染し
   ているかどうかが分かる。

    日本臨床内科医会がまとめた最新資料によると、高熱の出ない患者数は、成人で2割、
   高齢者で5割近くいるということが分かった。


  インフルエンザウイルスの感染の仕組み

    インフルエンザウイルスは、体内に入ると細胞に入り込む。ウイルスは、体に突起を
   持ち、突起の1種類は、細胞に入り込むための鍵の役割を持っている。このため細胞に
   容易に入り込み、細胞の中で割れて遺伝子情報を放出し増殖が始まる。まだこの時点で
   は、細胞の外へ増殖が移行していないので症状はない。しかし、ウイルスの突起の一つ
   には細胞壁を破るハサミの役割がある。そのためウイルスの増殖が細胞の外へと拡大す
   る。
    インフルエンザウイルスの特徴は、この増殖の勢いにあり、24時間で一つのウイルス
   が100万個にまで増殖する。突然に高熱がでるのはこのためである。


  熱が出ないのは、免疫力、体力の低下のため 知らずに他へ移す危険

    インフルエンザウイルスが増殖すると免疫が働くため、熱を出したり、いろいろな物
   質を出したりして、その結果、関節が痛くなったりする。しかし、免疫の力が弱いとウ
   イルスに対抗する力もなく、熱を出したり、効果的な物質を出したりすることができな
   い。中には、免疫力が非常に強く熱を出さずにウイルスを撃退することのできる人もい
   るものの、お年寄りや熱を出す力が体にない人は、いつ肺炎などの合併症が引き起こさ
   れるか分からないので注意が必要。また、インフルエンザと知らずに移してしまった人
   が高熱を出すかもしれない。


  特に高齢者は、38℃以下でもインフルエンザを疑って検査を

    特に高齢者は、肺炎などの合併症に要注意。これまで厚生労働省の基準は38℃を超
   えた場合インフルエンザを疑うとしてきたが、これからは、38℃以下でも思い当たる
   節があったら病院へ行って診断を受けて下さい。


  タミフルを飲んでも周囲への感染に注意 Aさんの家庭の感染と経過

3月4日次男が急に38.2℃の高熱を出し、
病院でインフルエンザと診断される。
インフルエンザ特効薬のタミフルを処方され、
1日くらいで熱が下がった。
3月6日長男が高熱を出し診断を受け、タミフルを処方され、
熱は1日くらいで下がった。
3月9日長男の熱が下がって2日たった後に、父親
が高熱をだし、インフルエンザと診断され、
タミフルを処方され、1日で熱が下がる。
3月13日3人ともようやく治ったと安心した頃、
母親がインフルエンザになる。


    薬を飲んだのに次々と家族が感染したのは、どういうことなのだろうか。


  タミフルは、ウイルスの増殖を抑えるが、体内ではウイルスが残存している

    特効薬タミフルを処方されていたのに次々と家族が感染してしまったのは、タミフル
   の働きが、ウイルスの増殖を抑えるという限定した働きにある。
    タミフルの働きは、感染した細胞から外の細胞へ増殖が広まらないようにするところ
   にある。ウイルスは、細胞壁を破る突起を持っているがこの働きを抑えるのがタミフル
   の働きであり、これによって増殖の拡大を抑えることができるというものである。抑え
   られた状態は、体の中にウイルスが存在している状態である。タミフルを服用して解熱
   後、徐々に体内のウイルスが死滅していく。


  解熱後、2〜3日はウイルスは死なない

    解熱後の体内のウイルスの残存率は、熱が下がった翌日で81%の患者さんからウイ
   ルスが見つかり、2日目で43%、3日目で13%、5日目でようやくいなくなる。

    タミフルは、増殖を抑えると1日ごとにウイルスが10分の1に減少し、2日目には
   100分の1に減少する。その結果、熱は1〜2日で下がってしまう。非常に有効な薬。
    ウイルスは、小さな子供だと3日間くらい、大人だと2日間くらいは咳などから出る
   可能性があるので、その期間は、しっかり薬を飲んでウイルスの量を減らす必要がある。
   最初の2日間は自分のために、解熱後の3日間は周囲の人のために薬を飲み続ける必要
   がある。
    人に移す危険と、特に高齢者、呼吸器の弱い方へはインフルエンザにかかることによ
   る細菌感染、肺炎などの合併症の危険があるため、周囲へ移さないためにもしっかり休
   んで治すことが大事。


  タミフルの副作用に関して

    タミフルを服用して異常行動が出たとか、意識障害があたとかと話題になったことが
   あったが、厚生労働省は直接的な因果関係はないとしており、従来どおり使用していい
   と言っている。しかし、薬であるため副作用については注意をして今後も使用していく
   必要がある。


  実験 くしゃみは2m飛び、飛沫は見えなくなり空気中を漂っている

    くしゃみで飛んだ飛沫にウイルスがいるとそれを吸い込んで感染すると言われるが、
   くしゃみはどれくらい飛ぶのか実験した。
    くしゃみをしたところを高速度カメラで撮影すると、女性の被験者で1mくらい。
   男性の被験者で2mくらいという結果になった。しかし、くしゃみの飛沫は、大きな
   ものと、霧状の細かいものとがあり、細かい飛沫は、画像を見ているうちに空気中に
   消えてなくなっていた。消えて見えなくなったものは、空気中に漂っていると考えら
   れる。

    くしゃみの飛沫は、空気中に飛び出した直後から乾燥し始め、0.1秒で10分の1
   の大きさになり、飛沫核というものになる。すると重力の影響をほとんど受けなくなり
   空気中に漂う。


  実験 くしゃみから60万個の飛沫核がでる

    くしゃみの飛沫を実験するために作った特別なクリーンルーム(ビニールの立方体)
   の中に特殊な装置を置き、くしゃみの取り入れ口の外からくしゃみをして飛沫を装置で
   カウントする。
    すると、60万個の飛沫が1回のくしゃみから飛び出し、しかも長時間、空気中に浮
   遊している事が分かった。ただし、密閉空間の実験においてである。


  実験 インフルエンザウイルスは、空気中にどれくらい生き続けるか

    くしゃみで飛んだ飛沫の中のインフルエンザウイルスが実際にどれくらいの時間、生
   き続けて感染力を持ち続けるのか、日本で初めての生のインフルエンザウイルスを使っ
   て実験が行われた。

    ウイルスを特殊な装置に入れ、水分と共にクリーンルームの空気中に飛ばず。ウィル
   スが外に漏れないように厳重に密閉された。
    実験を開始すると5000万個のウイルスがクリーンルームの空気中に浮遊する。数
   時間毎に空気中を漂うウイルスを回収した。

    その結果、インフルエンザウイルスは、長時間空気中にで浮遊し、くしゃみをした後
   の空気中の見えない飛沫核というもので空気感染することが分かった。


    インフルエンザにかかった人がくしゃみをして去った後も、ウイルスがその空気に生
   きて浮遊している。


経過時間ウィルスの生存量
3時間後12万個
6時間後5万個
9時間後5000個
12時間後ごくわずか

値は、グラフ目視のおおよその値



    くしゃみをして9時間後でも5000個のウィルスが残って浮遊していることが分か
   った。ただし、密閉したクリーンルームの実験の結果なので、実際の部屋では換気など
   をすることで、もう少し少なくなると考えられる。


  くしゃみでウィルスの飛散を防ぐには、マスクを手で押さえて

    くしゃみで飛んでいく飛沫をおさえるには、マスクが有効だが、マスクをしてくしゃ
   みをした時の飛沫を高速度カメラで撮影すると、肺活量の少ない人(実験では女性)が
   くしゃみをすると、くしゃみの飛沫は、ほとんどマスクで抑えられていることが分かっ
   たが、肺活量の多い人(実験では男性)で行うと、マスクはくしゃみの勢いと共に浮き
   上がり、くしゃみがマスクの下を通り抜けてほどんどマスク無しの時と同様に飛沫を飛
   ばしてることが分かった。
    そこで、くしゃみをする時は、マスクをしたうえから手で押さえるようにしてくしゃ
   みをすることが望ましいことが分かった。


  病院での感染拡大を防ぐ方法

    病院の入院患者にインフルエンザ患者が出た場合、インフルエンザの患者のみを集
   める部屋がある。骨折の患者さんがインフルエンザにかかっても内臓の病気の患者さ
   んでも、インフルエンザの患者専用の部屋に移動する。これにより、感染が他の入院
   患者さんに広まらないようになった。以前は、各部屋で治療をしていたが、そうする
   と同室の人に感染が広まり、病院内で流行してしまうという事態になった。インフル
   エンザ患者専用病室に集めることで院内の流行を防ぐことができる。実際に行われて
   効果の上がっている方法である。


  家庭でもインフルエンザにかかった人は、一つの部屋で休むようにする

    感染の拡大を防ぐには、ある意味心を鬼にして部屋を分けておくことが大事。

    家庭で感染拡大を防ぐポイント
    ・個室に一人で寝かせる
    ・看病する人もマスク、手洗いをまめに
    ・定期的な換気が大切

    ☆感染を防ぐには、家族みんなで協力しなければならない。


  インフルエンザ予防に口腔ケアが効果 ウィルスとプロテアーゼ

    東京都府中市のある介護福祉施設では、近所のお年寄りが通ってくる。ここで口
   腔ケアを実施すると他の施設に比べてインフルエンザの発症率が1/10に減った。


施設インフルエンザ発症率
口腔ケア指導無し10%
口腔ケア指導あり1%

数値はグラフ目視のおおよその値



    以前からお年寄りに口腔ケアを指導すると風邪や肺炎にかかりにくいことが知ら
   れていたが、今回、更にインフレンザにもかかりにくいことが分かった。

    口の中には、様々な菌が住み着いているが、代表的なのが歯周病菌である。これ
   が、プロテアーゼという酵素を作り出している。プロテアーゼは、インフルエンザ
   ウイルスの突起を切る働きをしており、突起を切られることにより、増殖がしやす
   くなるというウイルスに好都合の状態にしてしまっている。

    口腔ケアで歯周病菌を取り除くことで、歯周病菌の出すプロテアーゼを少なくで
   き、インフルエンザ発症が抑えられるということが分かった。


口腔ケア酵素(プロテアーゼ)の量(COD630)
指導前0.2
指導後0.125

数値はグラフ目視のおおよその値



    口腔ケアでは、歯垢を取ったり、歯の磨き方を指導したりする。歯垢は、歯科医
   などで取って貰い、歯周病がある方は、治療をすることが大事。また、日々の歯磨
   きをすることが大事。

    一旦歯周病になって歯周ポケットなどができていたら、きちんと治療を受け、歯
   磨きだけではとれないものもきちんと取ってもらう。


  うがいもインフルエンザ予防に効果

    インフルエンザウィルスに協力する菌は、歯の周り、舌の上、喉になどに居り。
   ブドウ球菌や、その他のいろいろな菌がいる。口腔内の細菌だけでなく、気道の上
   皮細胞も酵素(プロテアーゼ)を出す。
    このため、歯磨きだけでなくうがいも非常に効果があることが分かっている。





   情報閲覧に関するご注意

[参考 NHK ためしてガテン 2006/02/01]





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