にんじんのカロテン、無駄のない摂取法 NOTE #30
にんじんに含まれるカロテンは、がん予防効果があることからカロテンの吸収が良い
油と一緒に摂るよう言われてきた。しかし、この摂取法には落とし穴があった。新たに
分かったカロテン摂取の方法、にんじんの皮の誤解とカロテンを含む部位について「た
めしてガッテン」とまとめました。
肝臓がん予防には、トマトとにんじんを一緒に
トマトのリコピンとにんじんのカロテンを一緒に摂ることで肝臓がん予防になる。
にんじんそのものに含まれる油でカロテンの吸収力アップ
カロテンは油に溶ける性質があり、今までにんじんを調理する時には、油を加え
ることでカロテンの吸収がアップすると考えられてきた。しかし、にんじんには、
にんじんそのものがもつ脂質があることが去年の8月の学会で発表された。
にんじんの脂質は、にんじん1kg当り1gと非常に少量だが、カロテンの吸収
力をアップさせる力がある。加熱することで脂質がカロテンに触れ、カロテンが脂
質に溶け、吸収されやすい形になっていることが分かった。
カロテンと脂質の実験、今までの調理法と悪影響
カロテンの粉末を水に入れるとカロテンは全く溶けない。次に、油にカロテンの粉
末を混ぜるとカロテンはきれいに混ざった。このことでカロテンが油に溶けやすい性
質があり、油と一緒に吸収されやすいことが分かる。
家政学科の学生を3チームに分けて、カロテン摂取の実験を行った。学生は、一週
間カロテンの摂取を控えて実験に臨んだ。
各チーム違った調理法でにんじんを調理し、食べ、カロテンの吸収率と中性脂肪の
増加率を実験した。
| 検査項目 | 料理 人参入り野菜炒め | 料理 人参入り生ジュース/サラダ | 料理 人参と鶏肉の煮物 |
吸収率アップ のための工夫 | 油たっぷり | 生。細かく刻む | 油は鶏肉の脂質のみ |
| カロテン量 | 7ポイント増 | 6ポイント増 | 12ポイント増 |
| 中性脂肪値 | 40ポイント増 | − | 7ポイント増 |
油をたっぷり使った野菜炒めは、今までの常識ではカロテンの吸収率が高いとさ
れていたが、実際7ポイント増にどまり、最も増加した煮物は調味料として油を使
わず、鶏肉だけの油しかなかった。また、生のにんじんでも油たっぷりの野菜炒め
とほとんど変わらない吸収率だった。
更に、中性脂肪値は、油をたっぷり使った野菜炒めは40ポイントも増加してカ
ロテン摂取のための油のつもりが、中性脂肪値を大幅に上げる結果になってしまっ
ていた。
今までの油をたっぷり使うカロテン摂取法では、意外に中性脂肪値を上げる悪影
響があることが分った。
にんじんの脂質、加熱とカロテン
生のにんじんの細胞を顕微鏡で見ると赤い色のカロテンが、細胞の中で細長いく
っきりした形で確認できる。カロテンは、固い結晶の粒の状態で存在している。
一方、煮たにんじんの細胞を見ると、カロテンの結晶がぼやけて輪郭がにじんだ
状態になって見える。これは、加熱によってにんじん自体が持つ脂質が溶け、カロ
テンの結晶を溶かしたことによるもの。にんじんそのものが、加熱によってカロテ
ンを吸収しやすい形に変えていることが分かった。
これは、昨年8月の国際家政学会で発表された新情報。いままでカロテン吸収の
のために余分な油を加えて、余計に油を摂っていたということが指摘された。
カロテンの吸収率は、生に比べて2倍近く煮たにんじんの方が高いことも実験で
分かった。
この実験は、まず、すり下ろした生のにんじんと、すり下ろした煮たにんじんの
それぞれに胃液や腸液と同じ成分の液体を入れて、腸内の環境を再現する。どちら
もどろどろの状態になり、これを人間の腸の細胞を培養したものに、どろどろのそ
れそれのにんじんを入れ、カロテンの吸収を測定する。
4時間後測定すると、生に比べて煮たにんじんの方が2倍近くカロテンの吸収率
が高いことが分かった。
にんじんのカロテンは、加熱によって自分の持つ脂質に溶け吸収されやすい形に
なっている。
カロテン吸収アップには、にんじんを加熱することがポイント。
しかし、その加熱の温度に上限がある。
カロテンを残す加熱のポイント
100℃で加熱するとカロテンの量に変化はない。
200℃で加熱すると時間が経つに連れてカロテンの量が減っていく。
煮物は、100℃を越えないのでカロテンが壊れることは無いが、炒め物は、油
の温度が上昇し、加熱時間が長ければ長いほどカロテンが壊れていく。
カロテン吸収には、にんじんの煮物が良い。
炒め物をする時は、じっくり炒めず、さっと炒めることで煮物に近いカロテンの
量が残ると考えられる。
にんじんの皮をむくとカロテンが大幅に減る
にんじんの内鞘細胞(ないしょうさいぼう)には全体の2割のカロテンが含まれ
ており、他の部分の2.5倍も入っている。
内鞘細胞は、皮のすぐ下にある層で、ここにはポリフェノール(フラボノイド)
も他の部分の4倍も含まれている。また、うまみ成分のグルタミン酸は、1.5倍
も含まれている。内鞘細胞はカロテンのみならず大事な部分と言える。
しかし、内鞘細胞は、ほとんどの人が皮としてむかれていしまっている事実があ
る。市販されているにんじんは、既に皮がむかれており、そこから皮をむくと称し
てむいているものが内鞘細胞の部分だった。
にんじんの皮は、非常に薄いもので、収穫されて洗われると同時に機械のブラシ
によってはぎとられている。そのうすさは意外に薄く皮付きのにんじんと皮なしの
にんじんを比べると、皮付きが少し白っぽく見える程度のもの。
市販のにんじんの皮をむかずに使うとカロテンがより摂取できる。
にんじんの保存法
にんじんは、皮を取った状態で売られているため、皮の働きを失っている。本来
皮が、水分の損失を防いだり、微生物の侵入を防いだりしている。
にんじんが黒ずんだりするのは、内鞘細胞のポリフェノールが酸化したことによ
るもの。
・ポリ袋に入れて冷蔵保存すると良い。
ポリ袋に入れないと3日で水分量が半減する。
・レンジで6分加熱し冷蔵で5〜6日保存可。冷凍保存も可。
少し固めに仕上げるのが他の料理で使うときのためのポイント。
レンジ加熱は、ゆでたものよりも甘くなる。
情報閲覧に関するご注意
[参考 NHK ためしてガッテン 2005/03/09]
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