HIV感染の止まない増加と知識 NOTE #30
日本のHIV感染者が2005年4月に累計1万人の大台を超え節目の年となってい
る。欧米では新たに感染が確認された人数、AIDSを発症した人数とも横ばい、また
は減少している中、日本では増加している現状がある。NHK「きょうの健康」から
HIV感染についてまとめました。
HIV感染とは
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、免疫細胞に感染する。その2〜4週間後に発
熱、全身の倦怠感、喉の痛み、リンパの腫れなど、インフルエンザ様症状が起こる。こ
の症状は、2〜3週間で治ることが多いので、風邪と診断されてしまうことが多い。
その後、潜伏期間に入りこの時期は無症状になる。しかし、体内のウィルス(HIV)
は、増殖を続けて、毎日免疫細胞を破壊、攻撃し続けるため徐々に免疫力、抵抗力が弱
くなってしまう。
潜伏期間は、10年程度と長い。
発症すると、通常の人では感染しないような弱いウィルスや、どこにでもいる細菌、
風邪に抵抗できず、様々な合併症を引き起こす。
この状態になると、AIDS(後天性免疫不全症候群:エイズ)を発症している。
HIV感染経路
HIVは、血液、精液、膣分泌液、母乳に多く含まれ、これらの体液を介して感染
する。
主な感染経路は、性交渉。
セキ、くしゃみ、同じ食器を使う、お風呂などでは感染しない。
あくまでも体液の接触による。
日本で感染者が増えている 20〜30代で7割を占める
昨年新たにHIV感染が確認された数は、780人、AIDS患者は385人、合
計1165人と1000人を超えた。今年の4月には感染者、発症者が累計で1万人
を越え節目の年となっており、2010年には5万人になるだろうと危惧され、より
注意が必要な状況となっている。また、これらの数字は、報告されている数であり、
検査を受けていないために報告されない数はもっと多いと見られている。
年齢層では20〜30代の若年層が7割を占めており、HIV感染の知識や恐れを
持たないために、感染が広まっている現状がある。
特に発病してから初めてHIV感染に気付く人が増えている。
また、今までは、東京など大都市に限られていたが、現在では地方に拡大している
と言われている。
HIV感染者が増えた背景
@AIDSへの関心が薄れている。
A潜在的なHIV感染者の増加
B性行動の無防備化、性感染症の増加
AIDSへの関心薄れ
治るのではないかという誤解がある。
治るというのは誤解であり、感染すると一生コントロールを続けなければなら
ない。
AIDSは怖い病気である。
潜在的なHIV感染者の増加
アメリカでは成人の30%の人が検査を受けているが、日本では1%である。
自分が感染していることを知らずに他の人に移してしまう。検査を受ける人が
少なければ、感染を知らない人が多いのは必然であり、大きな問題になっている。
性行動の無防備化、性感染症の増加
性行動の低年齢化と複数の相手と性交渉をもつことが感染のリスクを高めてい
る。低年齢でHIVの知識を持たないことで無防備に行動すると、知らぬ間に感
染する可能性があること、相手が多くなれば感染の危険性が高くなることを注意
しなければならない。
性感染症にかかっているとHIVに感染しやすい。性感染症にかかっていない
人に比べると2〜5倍も感染しやすくなる。例えば、性器ヘルペスがあり潰瘍が
あると、女性は50〜300倍もHIVに感染しやすい。
性感染症は多くなっているので注意が必要。
性感染症は、クラミジア、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、淋病、梅毒など。
☆注意として、性感染症があった上でHIVに感染するということではなく、
性感染症とHIVとは同列にあり、同じ土俵にあるということ知らなければ
ならない。性感染症にかかる可能性があるということは、HIVに感染する
可能性がある。
抗体検査が大事
性感染症に1度でもかかったことのある人、不特定の人と性交渉のある人は、抗
体検査を受ける必要がある。
抗体検査とは
検査は、血液検査で行われる。
ウィンドウ期間
感染から6週間前後で抗体ができる。それまでの間は検査を受けても感染は確認
できない。他人に感染させてしまう可能性がある。
擬陽性
確認検査が必要な結果。
スクリーニング検査で陽性の取りこぼしが無いように擬陽性の範囲が設けられて
いる。
検査結果までの期間
今までは1週間必要だったが、最近は即日結果が出る。
20分程度で結果が判明すが、擬陽性の確率が高い。現在は、一部の保健所、検
査センターのみで行われている。
検査
各都道府県の保健所、検査センターで検査ができる。
・匿名、無料
・土日や夜間受け付けるところもある。
医療機関
・5000円〜1万円程度
相談・問い合わせ
(財)エイズ財団
TEL 0120−177−812
月〜金 10時〜13時/14時〜17時
感染しないために注意すること
・性交渉の相手を良く知ること
・コンドームを使用すること(予防に非常に有効)
2010年(5年後)には、5万人の感染者、患者が推定されている。
抗体検査を有効に使い、なんとか食い止める必要がある。
「遊んだツケ」の偏見 (読売新聞記事より)
「恋愛なら感染しないのか?」
HIVは、性感染症であるため性の乱れと関連づけられて、感染するのは遊んだ
ツケ、という偏見を生んでしまった。さらに恋愛なら感染しないという誤解まで
ある。
北山翔子さん(ペンネーム)は、医療ボランティアでタンザニアに滞在し現地
の人と恋に落ちた。やがてセックスをする関係になった。彼はコンドームをうま
く使えず、彼女は避妊のためにピルを服用した。避妊はピルでできるがHIV感
染を防ぐにはコンドームしかない。仕事柄良く知っていることだった。タンザニア
の各地でエイズによって多くの人が亡くなっていた現状も良く知っていた。しか
し、何故か自分の恋人はHIVに感染しているとは夢にも思わなかったという。
感染が分かり、帰国してある男性に「感染したのは北山さんのミスじゃないで
すか」と言われた。その男性に「あなたは大丈夫なんですか」と尋ねると「僕は
大丈夫ですよ、妻一筋ですから」と返事が返ってきた。その場では何も言わなか
った北山さんは、「私だって恋人一筋だったんですよ。なのにいまだに多くの人
が、不特定多数の人とセックスをしなければ大丈夫、と思っているんですよね。」
と危惧する。
北山さんは、薬でウィルス量を減らし元気に保健師の仕事を続け、2000年
には手記「神様がくれたHIV」を出版した。「北山翔子」はペンネームだ。
「ウィルスは、人を選ばないんですよ」とHIV感染者への支援活動に取り組
むNPO法人「ぷれいす東京」代表の池上千寿子さんは言う。
以上 読売新聞2005年5月19日 くらし家庭 「HIVとともに」より抜粋。
HIV感染の誤解には、不特定多数とセックスをしていなければ感染しない、
恋人一筋なら感染しない、自分は「遊んで」いないから感染しないという誤解か
ら、潜在的な感染を広げている可能性がある。まさに「ウィルスは、人を選ばな
い」という言葉どおり、恋愛論や個人の人格とは異なるレベルでウィルスが伝染
している。
HIV感染について理解を持ち、抗体検査や、互いの体を思いやる余裕を持つ
こと、行動をとることが大事になる。
情報閲覧に関するご注意
[参考 NHK きょうの健康 2005/05/31]
[参考 読売新聞 くらし■家庭 HIVとともに3 2005/05/19]
[情報:アバンチュールは性感染症への誘い? 英国男性HIV感染者、7割が海外での性交で感染]
[情報:性交経験のある女子高生の7人に1人がクラミジア]
[情報:しんそう−深層・真相・心想:解説編 深刻化する「いきなりエイズ」 ]
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