ハウスダスト掃除法 喘息に効果  NOTE #29

  ハウスダストによるアレルギーは、花粉症よりも発症してる人が多い。くしゃみや目の
 かゆみだけでなく、喘息による呼吸困難で命を落とすこともある強力なアレルゲンである。
 ハウスダストによる気管支喘息の患者さんにも効果を上げた掃除の方法などためしてガッ
 テンからまとめました。


  日本人の2/3がハウスダストの抗体を持っている

    スギの花粉よりも強力で、しかも1年中身近に存在するハウスダストは、最悪のア
   レルゲン(アレルギーの原因物質)といわれている。
    しかも喘息や鼻炎がないアレルギーとは無縁の人たちの2/3は、既にハウスダス
   トに対する抗体を持っていて将来疾患を発症する可能性があることが分かった。
    アレルギーを防ぐには、ホコリを減らすことが大事になってくる。


  毎日、掃除機で掃除、布団干し、でも喘息の発作が起きた

    神奈川県藤野町のAくんは、2歳の頃からハウスダストが原因の重い喘息に苦しん
   だ。
   「普通の息をするのにゼーゼーいって、夜は眠れなかった。もし、喘息じゃなかった
   ら苦労しないのに」とAくんは言う。
    母は、毎日欠かさずに掃除をし、布団を干してきた。
   「気管支に出来るだけ刺激を与えないために布団のゴミや、発作の原因になるものを
   出来る限り落として」と対策をしていた。Aくんの症状を書き留めた日記には「それ
   でも咳止まらず。」、「朝起こすと咳強い」、「夕方以降、咳が全く止まらず。」と
   記されていた。Aくんは、たびたび眠れないほど激しい発作を起こしたが、発作を抑
   える薬も使用できる量に制限があった。症状を和らげるためには、掃除に精を出すし
   かなかったが、なかなか成果は上がらなかった。
   「ちょっと自分が手を抜くことで、たまたま子供の状況が悪くなると、自分が原因だ
   ったかなと思ったこともありました。どこまでやればOKというのが出ませんでした
   から、必死ですね。」

    健康な人の場合、ホコリが気管支に入ると脳が命令し咳でホコリを外へ追い出す。
   しかし、気管支喘息の患者さんの場合、ホコリが入ってくると気管支が炎症を起こし
   気管支が腫れて狭くなるので脳の命令で咳をしても呼吸が苦しく、苦しい咳になって
   しまう。


  ハウスダストの中の何が原因なのか?

    ハウスダストには、花粉、動物の毛、繊維、ダニ、砂埃、人のフケ、カビなどが
   ある。これらを単純にアレルゲンとそうでないものに分けると次のようになる。

アレルゲン中間アレルゲンでない
花粉、動物の毛、カビダニ人のフケ、砂埃、繊維


    ダニが中間に位置している理由は、ダニは生きている限りはアレルゲンになるこ
   とはなく、一方、死んでしまうとその死骸がアレルゲンとなるためである。また、
   ダニそのものではなくダニのフンがアレルギーの原因になる。
    ダニの死骸やフンには、たんぱく質が含まれ、このたんぱく質がアレルギーの原
   因である。ダニは死骸になるとバラバラになり中のたんぱく質が表面にでてアレル
   ギーを起こす。また、死ぬと重さが1/2になり、バラバラの状態で空気中に舞い
   呼吸によって体内に取り込まれ、アレルギー反応を起こす。


アレルゲンアレルゲンでない
ダニの状態ダニの死骸、フン生きたダニ
振る舞い死ぬと重さが1/2になリ、バラバラになって空中に舞う。
たんぱく質が表面に出てアレルギーを起こす。
絨毯の繊維にしがみついたりや畳の奥にもぐりこんだりして潜んでいる。
アレルギー反応舞ったものが呼吸で体内に取り込まれアレルギー反応を起こす。反応を起こさない。



    ハウスダストの分類をダニの生態から考えると、アレルギーを引き起こすものと
   そうでないものの分類が変わってくる。

    ダニは、ハウスダストの中でも人のフケが大好物で、カビも好物。更に、人のフ
   ケにはカビも生えるのでダニにとって格好の餌となる。
    そして毎日2〜3個の卵を産む。卵からかえったダニがまた卵を産む。ダニの寿
   命は3ヶ月でその間に1つがいのダニから、なんと30万匹まで増える。日本は、
   高温多湿のためダニに適した環境でダニ天国だという。アレルゲンがどんどん増え
   ていることになる。
    一方、ハウスダストの中の繊維は、静電気を帯びてダニの死骸やフンを引き寄せ
   るのでアレルギー物質を留める役目を果たしてしまう。

    これらを踏まえて分類しなおすと、次の表のようにほとんどのハウスダストはア
   レルギーの原因物質になる。
    (問題になっているダニは、ヒョウヒダニ。咬まない種類。)

アレルゲンダニに加担するものアレルゲンでない
ダニの死骸・フン、花粉、動物の毛、カビ人のフケ、繊維砂埃


    ハウスダストを取り除くことがいかにアレルギーを起こさないために重要かが理
   解できる。また、ダニの存在を取り除けばほとんどのアレルゲンを取り除いたのと
   同じになるそうで、それだけダニの影響が大きいと言える。
    そこで、なんとかダニを取り除きたい。


  コナヒョウヒダニ実験

    ダニ5000匹を2畳の畳にまいて様子を見る。ダニは、暗いところを求めて畳
   の目の隙間から畳の奥へともぐりこんでいく。餌は人間のフケ。実際の部屋と同じ
   くらいの温度と湿度に管理し、2週間後、部屋を漂うホコリの成分を調べる。

    畳の上を1分間歩いてホコリを立てる。畳から30cmの高さと、60cmの高さ
   に設置したシャーレにホコリが積もるのを集める。

    シャーレの中のホコリを調べると、ダニは入っていなかった。しかし、ダニの死
   骸のかけらとダニのフンが入っていた。

     ダニの死骸のかけら421個
     ダニのフン58個


    ダニは、死骸やフンが空気中に漂うことが問題で、ダニの死骸は死ぬと軽くなり
   空気中をフワフワと舞うことで呼吸によって吸い込みやすい。
    また、シャーレの高さ30cmと60cmでは空気中のダニの死骸やフンの量が
   違い、30cmの高さでは、60cmの倍以上の量が漂っていることが分かった。

シャーレの高さダニの死骸のかけらダニのフン
30cm281個50個
60cm140個8個


    高さ30cmとは、どういう高さかというと、赤ちゃんがはいはいする頭の高さ
   が30cm、大人が寝る時の頭の高さが30cmになる。この30cmの中で赤ち
   ゃんは睡眠中にダニのアレルゲンを吸い込んでいると言えるのだ。

    大人の場合は、寝ている間にだいたい20回寝返りを打つという。寝返るごとに
   ふわーっとホコリが舞い上がり、舞い上がると5分間は30cmの間を漂っている。
   一晩当たり100分間は、ダニの死骸やフンを吸い込んでいることになる。


  フローリングの落とし穴 こんなに掃除しているのに

    Aさん宅では、長女がアレルギーで毎日掃除を欠かさず。掃除機の後に必ず水拭
   きしている。
    そこでフローリングの床の1区画と、敷布団の1区画を専用の掃除機でホコリを
   取る。

    Bさん宅では、わんちゃんが部屋で元気に遊んでいる。週2〜3回掃除機をかけ
   掃除機をかけるごとにワックスがけをしている。
    そこでフローリングの1区画を専用の掃除機でホコリを取る。

    それぞれのお宅のダニの死骸とフンを試薬で分析。
    厚生労働省が定める基準値は、ダニのアレルゲン量が5ng/1u以下であれば、
   アレルギー発症の可能性は低いとされている。

    しかしそれぞれのフローリングので採取したアレルゲン量は、基準を非常にオー
   バーしている結果となり、双方の奥さんには、これだけやっているのになぜと信じら
   れない思いと驚きがあった。

掃除法アレルゲン量
Aさん宅
 毎日掃除機+水拭き
46倍
Bさん宅
 週2〜3回掃除機+ワックスがけ
10倍


    どちらもしっかり掃除してダニの死骸やフンがフローリングに落ちているとは想
   像できなかったが、この結果となったのは、何故なのか。掃除の仕方でダニの死骸
   やフンの量が変わるのか実験を行った。


  20代〜50代のお掃除実験

    実験は、密閉空間にティッシュを裂いてホコリを一定量まき散らし、ホコリ量を専
   用の機械で厳密に管理した中で、各自いつも行っている掃除をしてもらう。
    この結果、最も簡単で短時間で仕上げた男子大学生がホコリの残った量が最も少な
   い結果になった。

掃除方法年代掃除にかかった時間取り残りホコリ量
掃除機がけの後、ワイパーで拭き掃除40代主婦3分40秒55mg
掃除機がけの後、雑巾がけ主婦歴34年6分58秒48mg
掃除機がけのみ30代主婦6分55秒56mg
ワイパーのみ20代大学生4分5秒33mg


    大学生以外の主婦の方は皆、掃除機を使って掃除をしていたが、この時特殊なカメ
   ラで撮影すると、掃除機の排気口のすぐ後ろでは、排気によって床に落ちていたホコ
   リが舞い上げられているのが見られた。

    掃除している時の空気中のホコリの量をみると、掃除機をかけ始めるとすぐ空気中
   のホコリ量が増えはじめ、4分経って掃除機がけを終え、雑巾がけを始める頃にはま
   だまだ空気中のホコリは増加中、雑巾がけを終えた6分58秒に至っても、空気中の
   ホコリはピークを迎えていなかった。この結果、床に取り残したホコリを取るために
   雑巾がけをしていたにもかかわらず、ほとんどのホコリは空気中に舞ってしまい、実
   際にはホコリを取ることができていなかった。
    掃除機で舞い上がったホコリは、1時間は空気中に舞っている。

    一方ワイパーのみを使って掃除した大学生の掃除を特殊カメラで見ると、ほとんど
   ホコリはたっていない様子が見られた。空気中のホコリの量も掃除機を使った掃除に
   比べると約半分くらいであった。


  掃除のプロのお掃除法 まずは拭き掃除、次に掃除機

    @ワイパーで拭き掃除
       細かいホコリを先に取る。

    A掃除機を仕上げにかける
       髪の毛や砂埃を取る。

     ☆この掃除法だと、残りのホコリ量は、24mg。
      ワイパーのみよりもよりハウスダストが取れる。
      これからは、この方法で掃除をしよう。


  WHOの布団のダニの安全量と日本の実際

    WHO(世界保健機関)が布団にどの程度のダニ(死骸、フン)なら安全かを示す
   基準がある。

ダニの死骸、フンの量安全性
2μg/g安全で清潔
2〜10μg/g要注意。抗体が出来るが症状はでない。
10μg/g以上発症の危険性がる。いつ発症してもおかしくない。


    しかし、日本人の平均は以下の通り、WHOの発症の危険性を示す値の倍の量が
   あるという。

20μg/g日本人の平均


    高温多湿の日本でダニによるアレルギーが誰にでも起こりうると考えられる状況
   が一目瞭然、ダニをどうにか取りたいもの。


  喘息患者のお掃除を指導、効果をあげた西岡医師

    国立病院機構 相模原病院の医師西岡謙ニさんは、喘息患者の家庭を回り、掃除の
   指導を行っている。

    ○効果をあげた布団掃除法
       週に1回、片面当たり40秒、布団に掃除機をかける。
       これを半年間続ける。
       掛け布団、敷き布団のそれぞれ片面ずつ40秒掃除機がけをする。


    カーペットなどの掃除機がけでは、ダニの死骸や卵などは吸い出すことが出来ても、
   ダニは前足の先がかぎ状になっていて繊維にしがみついて吸い取ることが出来ない。
   そこで西岡医師は、ダニの寿命が3ヶ月であることを考え、半年間続けることでダニ
   の世代交代を止めることが出来ると考えた。

    西岡医師は、神奈川県藤野町のAくんの家庭も訪問しており、Aくんの布団を1年
   間に渡って調査した。半年後には、ダニの死骸やフンが激減し、Aくんの喘息も軽く
   なっていった。今では大好きな運動を続けている。

    同時期に他の患者さん24名も全く同じ傾向が見られた。気管支喘息の患者さんの
   布団のダニの死骸、フンの量の平均値は、18.6μg/gだったのが、半年後には
   3.2μg/gにまで下がった。ほぼ全員が、気管支喘息の症状が軽くなっている。
   中でも5名は、全く喘息の発作を起こさなくなっている。

布団のダニの死骸、フンの量

患者さんの平均掃除指導後の平均
18.6μg/g3.2μg/g


    布団を干すだけでは、生きたダニや死骸、フンは取れないので、掃除機がけが必要
   になる。布団専用のノズルで吸い取るのがお勧めで、普通のノズルだと吸引力が強く
   布団を傷めることになるので、効果的な布団専用ノズルが良い。

    喘息の患者さんのいるご家庭では一所懸命掃除をされて、効果がないとがっかりし
   てしまう。効果的なやり方は次の通り。


    効果的掃除の方法、順番

     @寝具(布団) ダニが一番多い
     A寝室
     B居間

     ☆畳やカーペットの場合、布団と同じく掃除機がけが有効。

    アレルギーの完治は、難しいが、効果的な掃除で症状を和らげることが出来る。




   情報閲覧に関するご注意

[参考 NHK ためしてガッテン 2005/05/11]


家庭内公害・ハウスダストの恐怖―
アレルギー性疾患の7割はこれが原因だった


ダニが主な原因、アトピー性皮膚炎の治し方―
ダニ・アレルギーとその治療法






文中で「ワイパー」は、このようなもの。
簡単に拭き掃除が出来ます。
ブルーギャザックルワイパーF



花粉ダニアレルゲンキャッチシート





各種ワイパー、
ワイパー用シートあります。








特殊高密度織物を使った防ダニお布団などあります。





食品アレルギーを考慮した食料品、調味料、
アレルギー対策の洗剤、生活用品など。





Knowledge Notes内の関連情報
INDEX: 掃除

○ホコリの掃除

その他、掃除関連情報あり