筋肉疲労にクエン酸と乳酸の真実  NOTE #28

  筋肉疲労を回復するクエン酸の効果とクエン酸サイクルについて、また、これまで疲労物
 質として知られてきた乳酸が、逆に疲労を和らげてくれる物質だという事実について、更に
 クエン酸の高血圧予防の利用法と、骨粗鬆症予防の効果についてまとめました。ためしてガ
 ッテンをまとめます。


  「Science」誌論文が、"乳酸は疲労物質”の常識を否定

   2004年8月に「Sience」誌に掲載された論文でそれまでの乳酸についての常
  識とされた乳酸疲労物質説が否定された。

   「これまで筋肉の疲労と乳酸とは、同一と考えられてきたが、むしろ逆に乳酸は筋肉疲
  労を和らげてくれる物質と分かった。」というものだ。

   国の疲労研究グループのリーダーも、いろいろな研究をやって来た中で、乳酸が疲労の
  原因物質だということは、全く常識に反して間違いだったことが分かってきた、と言う。

   乳酸は、運動すると一時的に上がって、しばらくすると下がる物質。
  以前はこれが疲労の原因物質ではないかと言われていたが、現在では、乳酸はむしろ
  疲労を和らげてくれる物質で、エネルギーが足りないところを補ってくれる物質とい
  う考えを持っている。


  クエン酸と乳酸のラット実験

   ねずみにたくさんの乳酸を摂ってもらい、どれだけ運動を続けることができるか実験
  した。

   乳酸実験運動継続時間
     乳酸を与えていないねずみ 3分30秒
     乳酸を与えたねずみ 3分30秒近く


     乳酸は、運動時間を増減させることなく運動にほとんど関係ないことが分かる。


   クエン酸実験 運動継続時間
     クエン酸を与えていないねずみ 3分30秒
     クエン酸を与えたねずみ 4分10秒


   クエン酸を与えると、クエン酸なしのねずみに比べ40秒も長く運動を続けることが
  出来た。
   運動している時に使われるエネルギーとクエン酸は、深い関わりがある。


  クエン酸とクエン酸サイクル アセチルCoA

   エネルギーの大元は、食事からとる炭水化物で、炭水化物は分解されて糖に変わり、
  更にアセチルCoAという物質に変化する。エネルギーを作り出す上でアセチルCoA
  は、重要な役割を果たす。
   エネルギーは、クエン酸サイクルによって生み出されている。大まかには、クエン酸
  が幾つかの段階を経てオキザロ酢酸に変化し、ここにアセチルCoAが来るとオキザロ
  酢酸と結合し、新たにクエン酸が作り出される。そしてサイクルが繰り返されエネルギ
  ーを作る。このサイクルをクエン酸サイクル(TCA回路、クレブス回路)と言う。


図.A クエン酸サイクル

炭水化物を食べる
炭水化物が、糖に変化する
糖が細胞に取り込まれる
糖の一部が乳酸に変化する ← <運動>   糖が、アセチルCoAに変化する。
乳酸がアセチルCoAに変化 →→ →アセチルCoAがオキザロ酢酸と
結合しクエン酸になる
オキザロ酢酸 →→ クエン酸 →→ イソクエン酸
リンゴ酸クエン酸サイクル
(エネルギー生産)
アルファケトグルタル酸
フマル酸 ←← コハク酸 ←← コハク酸CoA


   クエン酸サイクルは、基礎代謝や生活活動代謝を維持するエネルギーを作り出してい
  る。


  運動と乳酸とクエン酸サイクル

   血中の乳酸は、運動するにしたがって、時間を追って増加しそうなものだが、2時
  間、運動を続けると、運動前と同じくらいに、乳酸地が低下していた。運動開始30
  分までは乳酸が増加するが、30分を過ぎると乳酸値が減少し始める。

   クエン酸サイクルがエネルギーを作り出すには、アセチルCoAが不可欠であり、
  運動を続けるとアセチルCoAの需要が高まりやがて不足してくる。アセチルCoA
  の前身である糖は、運動するとアセチルCoAに変化する他に一部が、乳酸に変化す
  る。
   運動中にアセチルCoAの供給が途切れると乳酸がこれに取って代わる。乳酸はア
  セチルCoAに変化し、オキザロ酢酸と結合してクエン酸となり、クエン酸サイクル
  を維持する。(図.Aのグリーン部分)

   運動すると乳酸がたまり始めるのは、アセチルCoAの不足を補うための準備をし
  ていることになる。乳酸がクエン酸サイクルのエネルギー源になっているのだ。

   運動開始後、30分で乳酸が減り始めるのは、乳酸がアセチルCoAに変化しクエ
  ン酸サイクルに入り始めたことによると考えられる。


  運動中にクエン酸を補給すると疲れず、エネルギー維持

   プロバレーボール選手の練習時にクエン酸入りの水を飲むグループと、ただの水の
  グループに分かれ、疲労度を実験した。

   2時間の練習でクエン酸入りを飲んだグループの選手は、
   「いつもの練習だともう動けなくなるのに、またすぐ動けるようになった。」と疲
  労回復の実感を得た。また、ただの水を飲んだグループの選手は、
   「いつも通り足がとてもだるい。」と疲れを訴えた。

   クエン酸を補給するとクエン酸サイクルにダイレクトに入ることができ、エネルギ
  ーを作り出す。食事で摂った炭水化物の代謝が尽きた時に、クエン酸を補給すること
  でエネルギーの生産を維持することが出来、エネルギー切れ、疲労の状態から回復で
  きる。


  脳の疲労には、クエン酸は効果なし

   プロバレーボール選手が算数ドリル2時間に挑戦し、クエン酸入りの水を飲むグルー
  プと、ただの水のグループに分かれて乳酸値を計る実験をした。

    グループ計算ドリル後の平均乳酸値
     クエン酸有り  5.8
     クエン酸無し  5.9


    クエン酸を飲んでも、飲まなくても乳酸値はほとんど変わらず、乳酸に影響しな
   かったなかった。脳の疲労には、クエン酸が効果がないことが分かる。

    クエン酸は、運動などの筋肉の疲労に効果があり、全ての疲労に効果があるわけ
   ではない。


  クエン酸で骨密度アップ 骨粗鬆症予防に効果

   クエン酸は、無機物のイオンと結びつきやすい性質を持っている。このためカルシウ
  ムと一緒にクエン酸を摂ると、もともと吸収されにくいカルシウムがクエン酸と一緒に
  吸収され、骨密度を上げる効果がある。


  カルシウムとクエン酸実験

   12人の骨粗鬆症予備軍とされた方々(身長も同じ)が実験に協力し、カルシウムを
  1日800mg(1日の所要量よりも多い量)を3ヶ月摂取した。一方のグループは、
  1日1個分のレモンを摂取してもらった。

  骨密度増減 
    レモン無しのグループ −0.5%
    レモン有りのグループ +0.7%


   レモン無しのグループの骨密度の減少は、所要量以上のカルシウムを摂ってもなお、
  食い止めることが出来なかった。レモン有りのグループの骨密度の上昇は、カルシウム
  の吸収を高めるクエン酸の効果が高いことを表している。



  クエン酸でミネラルの効果がアップできると期待

   クエン酸の無機物イオンと結びつきやすい性質を利用して、他の金属イオンとの結び
  つきと、吸収力アップを期待できる。

   効果を期待するミネラル 効果
    カルシウム 骨粗鬆症
    マグネシウム 骨粗鬆症
    鉄 貧血
    亜鉛 味覚障害



  レモンと食品のクエン酸量換算

   食品 レモン一個分クエン酸(4〜5g)相当
    グレープフルーツ 1個
    オレンジ 2個
    ゆず 2個
    みかん 4個
    うめぼし 8粒
    すだち 4個


    梅干3粒食べたら、レモンは2/3個摂るなど、組み合わせると良い。
    レモン以外からもクエン酸を摂るようにして、いろいろな食品を食べるようにし
   たい。


  高血圧予防にクエン酸 減塩食の塩味が増す

   塩味を感じる場所とすっぱさを感じる場所が、私たちの感覚の中で近いため、塩分
  が薄い場合、すっぱさが来ると何故か塩が来たと感じてしまう。この錯覚を利用して
  減塩食をクエン酸で味のある食事に出来る。


  塩味覚実験

   4%の食塩水と、1%の食塩水にそれぞれクエン酸を入れたものと入れないものを
  作り、300人にどちらがしょっぱいか味見してもらう。

濃度・クエン酸しょっぱいほうに◎濃度・クエン酸しょっぱいほうに◎
 4%食塩水+クエン酸  1%食塩水+クエン酸 ◎
 4%食塩水 ◎ 1%食塩水 


   4%の食塩水はかなりしょっぱいが、クエン酸を入れたものは、入れないものより
  しょっぱさを感じなかった。
   一方、1%の薄い食塩水の場合、クエン酸入りの方がしょっぱいと感じる人が多か
  った。

   ・減塩の食事をしている時には、クエン酸で塩味をアップさせ美味しく食べること
    が出来る。

   ・あくまで減塩の食事の時にクエン酸を使うようにする。塩分が高いときには逆に
    塩味が足りなく感じてしまうので、塩を増やさないためにも塩分が多いときには
    使わない。

   ・塩味が足りないと思ったら、クエン酸をかける。すだち、レモンなど。


  クエン酸+カルシウムの料理 

   料理研究家の小川聖子さんのレシピ

   ・じゃこレモン

     材料
      じゃこ50g
      レモン汁80ml


     作り方
     @じゃこをレモン汁で煮る

     ※保存は、冷蔵庫で3日ほど。
     ※サラダや冷奴、おひたしに添えて。

     ☆クエン酸は熱に強いので加熱しても大丈夫。
     ☆酸に強い鍋(ガラスやホーローなど)で料理する。

   その他、下記のレシピが番組のページに掲載されています。
   ・サワーレモンチキン
   ・レモン寿司
   ・ヨーグルトレモンゼリー

   
リンクリストに番組ページをリンクしてあります。


   情報閲覧に関するご注意

[参考 NHK ためしてガッテン 2004/10/13]


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