風邪薬と抗生物質;耐性菌  NOTE #28

  風邪薬は、症状を和らげるが、風邪を治さない。病院でもらえる薬もその点同じ。そ
 して、病院でしかもらえない薬の抗生物質がもたらす耐性菌の急増と学会ガイドライン
 の示す警告、また、最近よく報道されるノロウィルスについて、ためしてガッテンをま
 とめます。

  風邪薬は、風邪を治すものではない。

   風邪薬は、その名前から「風邪を治してくれる」という期待とは異なり、風邪の諸
  症状を緩和するもので、その効果は、風邪の症状(鼻水、鼻詰まり、咳、熱、喉の痛
  みなど)を緩和する働きにある。
   風邪薬には、風邪の原因であるウィルスや細菌を取り除いてくれる働きがないので、
  根本的に治すことはできない。
   しかし、風邪の症状は大変辛いもので、それに効果のある風邪薬を飲むことは、体
  力を消耗させないために意味がある。


  病院で処方される処方薬も風邪を治さない。

   病院で処方された処方薬は、風邪を根本的に治してくれると思いたいが、やはり、
  風邪の諸症状を緩和すると言う説明書きがあり、風邪の原因を取り除くものではなか
  った。
   一方、病院では、抗生物質が風邪薬と一緒に処方されることがある。抗生物質は医
  師が処方しなければないらない。


  抗生物質はウィルスに効果なし(喉の細胞で実験)

  ・RSウィルス + 喉の細胞

   RSウィルス(風邪の原因ウィルスの1つ)を実験容器に入った喉の細胞に付着さ
  せ、37℃で3日間培養した。その結果、喉の細胞のところどころに穴が開いた。こ
  れは、RSウィルスが喉の細胞を死滅させて出来たものだった。

  ・RSウィルス + 喉の細胞 + 抗生物質

   RSウィルスを付着させた喉の細胞に、抗生物質入れて37℃で3日間培養した。
  すると、抗生物質がないときと同様に、喉の細胞に穴が開き、細胞が死んでいるとこ
  ろがあった。
   抗生物質がウィルスに効果がないことが実験で実証された。


  抗生物質は、耐性菌の原因になり、ほとんどの風邪の原因に効かない。

   風邪の原因には、ウィルス性と細菌性とがあるが、細菌性の風邪は、ごくわずかし
  かなく、8〜9割の風邪は、ウィルスが原因で発症する。しかし、風邪の時に処方さ
  れる抗生物質がウィルスに効果がないことが分かっている。ウィルスに効果がない抗
  生物質を飲んでも、ほとんどの風邪の原因を排除することが出来ない。

   抗生物質の効果は、細菌に対してである。細菌を殺す働きがある。
   ところが、菌のごく一部が抗生物質でも殺せない耐性菌に変化するものがある。そ
  の結果、抗生物質を繰り返し服用すると、抗生物質に弱い菌が全て殺され、耐性菌だ
  けが生存し、増殖。抗生物質が効かない体内環境を生んでしまう。


  風邪の原因のウィルスと細菌の種類
 
風邪ウィルス(風邪の8〜9割の原因)   
 RSウィルスアデノウィルスライノウィルス
 コクサッキーウィルスエコーウィルスコロナウィルス
 レオウィルスインフルエンザウィルスパラインフルエンザウイルス
風邪細菌(残りごくわずかの原因)   
 マイコプラズマクラミジアその他の細菌



  「抗生物質は、風邪に直接効くのではなく有害無益」と学会新ガイドライン

   病院に行かないと処方されない抗生物質だが、その結果が耐性菌を増やしている現実
  に、昨年(2004年)11月の呼吸器学会、日本小児呼吸器疾患学会、日本小児感染
  症学会が出した「呼吸器などの感染症に関するガイドライン」では、「抗生物質は、風
  邪に直接効くのではなく、使っても有害無益である。」と指摘している。


  抗生物質は、肺炎の予防薬としての処方だったが、治療にしか効果がない。

   抗生物質は、そもそも肺炎の予防薬として考えられていた。そのため、風邪薬と一緒
  に肺炎を予防するため、病院で処方されるものだった。
   しかし、現在では予防には効果がなく、肺炎にかかってから服用することで始めて効
  果が出ることが分かってきた。

   単なる風邪のときに飲むと、耐性菌を増やすため、有害無益とガイドラインで示され
  た。


  肺炎球菌に効果を示す抗生物質(培養実験)

   肺炎球菌は肺炎を引き起こす原因菌の1つ。これを実験容器で培養すると茶色く変色
  した。肺炎球菌が繁殖して、毒素をだし周囲の細胞を変色させた。

   同様に肺炎球菌と抗生物質の錠剤を数箇所置いて培養すると、抗生物質の周りだけは
  変色がなく、肺炎球菌に効果があることが分かった。


  肺炎感染の経緯と抗生物質の効果

   風邪のウィルスなどで肺の細胞が攻撃され、細胞が死んでその部分が弱くなる。
   この時、肺炎球菌が肺に侵入すると抵抗力が弱くなっているため、弱った部分から感
  染を起こす。肺炎球菌は増殖しながら毒素を出し、その毒素によって肺の細胞が死んで
  肺炎を起こす。
   肺炎になって始めて、抗生物質の効果が出る。抗生物質が肺炎球菌に効くためである。
  (肺炎球菌は、字のごとくウィルスではなく細菌であるため、抗生物質が効く。)


  今、耐性菌を持つ子供が急激に増えている

   子供の持つ肺炎球菌を調査した結果、検出した肺炎球菌の67%が抗生物質の効かな
  い、すなわち耐性菌だったという恐ろしい調査結果がでている。
   耐性菌を持っていた子供を調べると、抗生物質を使っていた子供だったことから、抗
  生物質が耐性菌を増やす、一つの原因であることが指摘されている。

  耐性菌が増えるメカニズム

   抗生物質を服用すると、細菌を殺菌する。
   良い菌、悪い菌の区別なく殺菌する。
   まれに、死んだと思った菌が耐性菌となって復活する。

   抗生物質を再び服用する。
   耐性菌以外の菌を殺菌する力があるため、耐性菌を残し他の細菌がいなくなる。
   耐性菌は、繁殖を続け、他の菌がいない領域にどんどん繁殖を続ける。

   抗生物質を服用する・・・・更に耐性菌にとって住みやすい環境を作ってしまう。

   単なる風邪の時に抗生物質の服用は避けるべき。


  なぜ病院で抗生物質が出されるのか

   今回番組では、40人の風邪をひいているガッテン隊員が病院で診察してもらい、
  薬をもらってきた。いわゆる風邪薬に加えて、抗生物質を処方された隊員は、34人、
  約8割が処方された。

   なぜ抗生物質が病院で処方されるのか?

   @臨床のイメージとして早く治る気がする
   A肺炎の可能性の予防
   B患者側の要請(子供の感染が多く親からの要請)

   以上が処方される理由と言うものだが、抗生物質に肺炎など感染症を予防する効果は
  なく、細菌による感染症にかかってから飲むべき治療薬。抗生物質は、単なる軽いかぜ
  の際に飲むものではない。

   患者側の要請と言うところでは、抗生物質について良く知ることで、有害無益な抗生
  物質を、軽い風邪の時に要求することはやめることが出来る。
   また、処方された時は、この抗生物質が私には必要ですかと医師に相談すると良い。
  今、服用している人は、そもそも理由があって処方されるものなので、自分の判断だ
  けで服用を止めたりすると、治療の妨げにもなってしまう。一人合点することなく、医
  師に必ず相談し、効果を理解し、必要であれば充分服用する。


  1〜2才が耐性菌のピーク そして、高齢者への感染

   小さな子供は、様々なウィルスや細菌の感染を繰り返す。そのため処方が集中し1
  〜2才が耐性菌のピークという実情がある。
   本来は、この時期1〜2才に様々な感染を繰り返すことにより、免疫力が付くもの。
  小さな子供への抗生物質の投与は、要注意。免疫力を付けてあげるためにもこの時期は
  大事、医師と良く相談を。


   耐性菌は、感染する。
   小さな子供には、どうしても手をかけるが、その子供が耐性菌に持っていると、人
  から人へ耐性菌が感染する。可愛い孫を抱いている時でも、免疫力が低下している人
  や、高齢者は、その子供から耐性菌に感染してしまい重症になることもある。

   子供に触れる前にも、後にも手を洗うようにする。

   肺炎などの感染症で亡くなる人の大半は、高齢者であることからも、既に病気にか
  かっている人や、高齢者は耐性菌に注意しなければならない。


  細菌とウィルスは、別物。

   細菌とウィルスは、同じものと誤解されがちだが、異なるものである。

   細菌は、体の中に入るとすぐ体内で増える。
   細菌は毒を出すため、その毒によって体の細胞が死んでしまう。
   抗生物質によって殺菌可能、しかし、耐性菌の可能性。

   ウィルスは、体の中に入っただけでは増殖せず、細胞の中に入って始めて増える。
   細胞の中でウィルスが増殖しいっぱいになると、細胞は死んでしまう。
   細菌よりも微小。
   抗生物質はウィルスを殺せない。


  インフルエンザ、強力な繁殖力と特効薬のタイムリミット

   インフルエンザウィルスは、感染すると命に関わることもある。繁殖力が桁外れに
  強く注意が必要。

   抗インフルエンザ薬があるが、タイミングが問題。発症後48時間以内に抗インフ
  ルエンザ薬を飲まないと効果がない。

   そこで、感染から発症、ウィルスの増殖の経過を理解する必要がある。

   インフルエンザウィルス感染の経過

経過症状とウィルス量
感染潜伏期間2日
感染から2日後発症。
突然、高熱(38℃以上)が出るのが特徴。
だるさ、喉、筋肉、関節の痛みなど全身症状へ。
ウィルスが急激に増殖を始める。
感染から4日後
発症から48時間後
だるさ、喉、筋肉、関節の痛みなど、全身症状。
ウィルスの増殖のピーク、ウィルス量が最大になる。
感染から4日目以降ウィルス量が減少。


   抗インフルエンザ薬は、発症から48時間後までに、服用しなければならない。ウ
  ィルスの増殖を抑える薬なので、発症から48時間以内の増殖中のウィルスを途中で
  抑え、減少させなければ意味がない。
   効果のでるタイミング48時間には、急な高熱、全身のだるさ、関節の痛みなどの
  症状がある。異変に気づいたら、すぐに病院でインフルエンザかどうか検査してもら
  う。インフルエンザの診断キットがあるので、10〜20分で感染しているかどうか
  判断できる。そのため、すぐに抗インフルエンザ薬を処方してもらうことが出来る。
   急な高熱が出たときは、素早く病院で検査を受けることが大事。


  抗生物質と重い風邪

   抗生物質が有害無益といわれるが、インフルエンザや重い風邪の時は、他の細菌も
  感染しやすく。肺炎を起こし合併症になりやすい。こういうときは、主治医の判断に
  なるが、抗生物質も必要な場合がある。良く相談をする。


  ノロウィルスの感染と予防

   2005年1月12日現在で、5371人が感染し、12人の死者が出ている。

   ノロウィルスは、胃や腸に感染し急性の胃腸炎を起こす。下痢、吐き気、発熱など
  風邪の症状に似ているが、消化器の病気で、風邪とは違う。
   今年の冬は、ノロウィルス感染が報道され耳慣れない病気が、流行っていると感じ
  るが、昔からあった病気。

   ノロウィルスは、嘔吐物や便に潜んでいて、手から口に入り、胃や腸に感染する。
  元気な人は、2〜3日で治るが、お年寄りや抵抗力の弱い人は、感染して重症になる
  こともあるので充分注意が必要。

   予防には、手を洗うことが大事。トイレの後、調理の前、など。
   調理には、充分加熱することで、口からの感染を防ぐ。

   ノロウィルスは、ウィルスなので特効薬はない。抗生物質も効果がないので、症状
  がでたら、充分水分を補給し、脱水症状を防ぎ、休養する。病院で点滴などの処置も。


  参考:「感染性胃腸炎 ノロウィルス」 NOTE #28



   情報閲覧に関するご注意

[参考 NHK ためしてガッテン 2005/01/19]



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